アナルコ・キャピタリズム研究(仮)ブログ

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移民受け入れの是非3

リバタリアンとりわけ無政府資本主義者の考えなどエクストリームすぎて、ある異なる思想の持ち主は普通の人より理解できないものかもしれないが、私はこの考えを信じるどころか経済理論をバックに自信をもって主張できるし、いかにわかりやすく説くかということまで考えている人間だ。

どういう経過で彼と移民の話に至ったかは憶えていないが、おそらくロンドンが外国人だらけで、推定7割以上がイギリスをルーツとしない異民族の都市であるからだろう。さてI君と話していて、移民政策一つとっても、政策とその是非については最終的にはある価値観とそれに基づく思想から総合的に判断されるものであるということがはっきりわかった。

私の考えは、無政府でなくとも移民政策を支持するが、理想的な形態はアナーキーな移民制度ということである。そしてこれはナショナリストを納得させることは難しいかもしれないが、メタ的な社会である無政府資本主義社会では、移民を認めないコミュニティなり政治体ができることは何ら問題ないし、当然妥当と考えられるものであるのだ。それが共産主義者もアナルコ・サンディカリストも自由に活動する真のリバタリアン社会である。

様々なコミュニティや保護機関が一つの地域に混在、またはそれらが地理的に分離して存在するというのが私の無政府資本主義社会のイメージである。だから移民を認めないエージェンシーなり共同体が存在していいし、おそらく必ず出現するから、I君のようなナショナリストはそこで生きていけばいいだろう。(ただ近くではチャイニーズもタイもケバブも高くてまずいのしか食べられなくなるよ?)

個人の好みと多様性を認めるのがリバタリアンであるし、それを認めないことや何かを強制すること、邪魔をすることに反対して武力にさえ訴えることがあるのが真のリバタリアンである。私は人々はもっと豊かになるべきである、またはそうなることを阻害されるべきではないと考えるし、物質的・精神的にもっと豊かな社会で生きたいのだ。

(終わり)
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移民受け入れの是非2

I君も指摘するように日本の警察は無能であり、治安対策により税金がつぎ込まれたからといってうまく機能すると期待することはできない。また彼の言うように、日本の甘い法制度が悪い外国人を引き付けているということも認める。さらに移民はずっと貧しいままであり彼らが犯罪を起こしやすいというのも半分は認める。だがこれらはすべて政府の無能と規制が原因なのである。

また大部分の移民は、平均的には単純労働に従事し、相対的には貧しいかもしれないが、少なくとも祖国にいるより生活が良くなるから日本を選ぶのだ。イギリスにおいてはインド系の平均所得は高く、経済の中核的存在と言われるぐらいである。長期的、また平均的には移民も同じような豊かさを享受するのである。

感情的に移民を受け入れることができないというのもわかる。文化・慣習が大きく異なり言葉が通じないデカい外国人を、人々はライオンが放されているのと変わりないと思うだろう。だが以前にも書いたようにリバタリアンはそういう感情に基づいた差別を大いに容認するのだ。私も自分を理解しない猛獣のような人間が近くにいるだけで嫌だし、韓国人と黒人女も平均的に嫌いである。差別というのは無知・無理解からだけでなく、ある程度相手を知った後でさえ起こるものだろう。

(続く)
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移民受け入れの是非

最近同僚になったI君と「日本は移民を受け入れるべきか」ということについて議論した。彼は相当に教養のある知的な人物で、驚いたことにリバタリアニズムだけでなくアナルコ・キャピタリズムという言葉も知っていた。

ナショナリストを自認する彼は移民受け入れには反対で、リバタリアンの私は当然賛成の立場をとった。I君は治安が悪くなり家族が危険にさらされる社会は嫌だと言い、私は労働が安く買える、例えば外国料理が安く食べられる豊かな社会が好きだと言った。

私がまずとった論法は、たしかに移民受け入れによって摩擦や争いが生じやすくなるだろう、当然のコストである、だが労働が安く買える結果モノ・サービスは安くなるので、余ったお金で警察力を強化でき、治安はむしろ良くなるだろう、それは今より豊かな社会だ。移民とは輸入である。古今東西貿易が栄えた所は豊かであった。日本では昔の堺や博多などだし、アメリカとイギリスの経済的繁栄は昔の自由な貿易・移民政策の結果である。

だがI君は今より豊かにならなくてもいいのでは、現状維持で結構ではないかと言う。まあそれは個人の好みであるのでいい。しかしそれは政府なり国家によって押し付けられてはならない。そこで私は次のような論法にかえてみた。

外国人が日本にやってきて、やがて定住する。だが彼がやっていることは一連の個人的な自由な交換・取引の積み重ねである。彼はまず不動産屋から紹介サービスを受ける。その後大家さんと賃貸契約を結ぶ。料理屋を開き、お客さんから代金をもらい、その商品を売る。近所のスーパーに行き売ったお金を食料品に代える。蓄財し、家を買い、家族を持ち、子供を学校に行かせる。休みの日は遊園地に行き何かの権利を買い、引退後は投資家として資本を誰かに提供する。移民を禁じるということは、このような日本人を含む個人たちのあらゆる自由な交換を禁じるということである。

(続く)
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