8月2日仕事で
ヘースティングスというイギリス南東部の海辺の町に行ってきた。久しぶりに海を見ることができて嬉しかった。またロンドンの半分ぐらいの値段でまあまあのフィッシュアンドチップスを食べることもできた。(イギリスの中でもこの町のはおいしいことで有名で名物になっている。ただしフィッシュアンドチップスはろくでもない料理である。ふだんは全然食べない。)
1066年フランス王臣下のギヨームはこの地で
ハロルド2世を激戦の末破り
ウィリアム1世となった(
ノルマン・コンクエスト)。現在のイギリス王室の始まりである。イングランドはこれ以降征服されたことはなく、ウィリアム1世は征服王と呼ばれる。
征服。国家間の戦争というものとほとんど無縁になった現代人にとって、またアナルコ・キャピタリストにとって不思議なものである。理想的な無政府資本主義世界に「征服」というものはない。人々が自分の暮らす「国」「法律」を選ぶ。コストのかかりすぎる好戦的・暴力的なエージェンシーは市場から退出しなければならない。
ではなぜ古代から20世紀までの人類はこのような無政府資本主義に向かわなかったのか。一つの大きな理由として経済的に移動の自由がなかったからというのが挙げられる。情報もなく技術が発展しておらず移動のコストが高すぎてほとんどの人々は生まれた土地にずっと住むこと以外考えられなかった。そこで武力による土地の支配がイコール人の支配(徴税力)になりそしてそれが国家というものになった。
要するに資本主義とそれとともに発達した科学技術による情報力と移動力が人々をアナルコ・キャピタリズムに向かわせる。無政府資本主義は過去にあったとしても特殊ケースでやはり一般的には未来にあるものなのである。