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ゲーム理論入門に最適の動画

こ、これは・・・

YouTube - Golden Balls - £100000 Split Or Steal? 14/03/08
http://www.youtube.com/watch?v=p3Uos2fzIJ0



いい教材ですねw

アメリカ経済ニュースBlog: 美女の究極の選択−ゲーム理論を学ぶより。注意:以降の記述で動画に関する核心部分が明かされています。)

■最適戦略とナッシュ均衡

いま2人の目の前には10万ポンドのパイ(利益)がある。

・協力すれば半々の分け前
・チート(騙し、裏切り)成功なら全取り
・両者チートなら全部パー

日本円では約1500万円。息の詰まる駆け引き。人生で出会いたくない局面。

  男\女   C    D
    C   5,5  0,10
    D  10,0  0, 0

・CはCooperation(協力)のC
・ナッシュ均衡はDDでユニークに決まる
・Dは弱支配戦略

このように単純なゲームでなぜCを選んでしまうのか。あるいはなぜCCが達成できるのか。全部やらせか?

よくわからない。心理学や行動経済学で扱うような微妙で複雑な問題となる。

参考)
Golden Balls - Wikipedia, the free encyclopedia
http://en.wikipedia.org/wiki/Golden_Balls

■規範的分析

・均衡はパレート非効率であり、マーシャル非効率でもある
・DD以外はすべてパレート効率でマーシャル効率であるが、どれも均衡にはならない

このように単純なゲームは現実には起こりにくい。そもそも社会においてはプレーヤー数の多い競争的市場が一般的で、双方独占というのが特殊ケースといえる(他を探せる)。このような詐欺行為が当然となるワンショットゲームは

・法律・契約・慣習など何らかの処罰メカニズムにより利得が変わり、違うゲームになっている
・家庭・会社・得意先などで状況が繰り返しゲームになっていて最低水準以上の利得が達成できる(フォーク定理)
・そもそも協力を見込むから付き合いがあり、付き合いの中では微妙な調整が可能(同時手番=モニタリング不可能な状況ではない)

というふうにして社会から取り除かれているのが普通である。

実際このゲーム的状況が起こるとしたら、それは上記が当てはまらない場合、一言で言うと信頼関係を補強するものが弱くなっている場合で、典型的には法その他に訴えにくいアングラ経済である。麻薬の取引、あるいはさらに危ないことを想像しよう。非合法世界では暴力をもっているやつが幅を利かす。

このゲームは個人が合理的に振る舞う結果、全体のパイが消えてしまう社会を描写するものである。(類型が「囚人のジレンマ」として有名。)資本主義が未発達な、あるいは崩壊した、財産権の保護されない社会の描写である。

それは極端に言えば原始時代か北斗の拳の世界であり、現実には巨大な政府・共産主義という、混乱と戦争の本当の無政府状態=カオスである。
★未開社会のゲーム理論 | comments(0) | trackbacks(0) |