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バスティアテクニックと世界水準情報

なぜ日航を救済すべきでないか、金融日記でわかりやすく解説されている。この記事のいいところは「見えないもの」をはっきり示してくれているということである。

「見えないもの」とは「隠された社会的コスト」のことである。これはすなわち「他の可能性」「他の未来」あるいは「他の価値」ということである。とても味気ない言い方をすれば機会費用ということになる。

ではこの「見えないもの」を想像し、発見するにはどうしたらいいか。

そのためのテクニックの一つは「世界水準」を考えるということである。この記事では給与の国際水準やライアンエアーが引き合いに出されている。

ここで重要なのは世界を知っているということである。そして私が何より大事だと思うのが藤沢さんのような常にプラグマティックで功利主義的な態度ということである。

なぜ金融機関は時に税金で救済しなければいけないが、事業会社を救済するのはよくないのか? その1(強調はanacap)
http://blog.livedoor.jp/kazu_fujisawa/archives/51548174.html

そもそも航空会社が潰れてしまうのは世界的に供給過剰になって来ているわけで、たとえ一社が潰れたとしてもすぐに他の会社が穴埋めをするので、消費者にとっては一時的な混乱はあるでしょうが、それほど困ることはありません。

また、世界的な競争の中でもそれでも儲けて成長している航空会社もたくさんあるわけです。
その中で潰れてしまうと言うことは、社員やパイロットの給与が国際水準からしたらかなり割高だったり、さまざまな非効率的な部門をたくさん抱えていたりするからです。
給与を適正水準に戻そうとしても労働組合の力が強すぎて組織が完全に硬直してしまっていてるし、非効率な部門もさまざまな組織のしがらみで全く改革できません。
また、このような大きな会社は政治的にも大きな利害関係を抱えており、一部の政治家や官僚の利権がうごめいていたりします。
まさに、魑魅魍魎が巣食っているのです。

そんな会社が潰れたらどうなるのでしょうか?
この世の中から消滅してしまうのでしょうか?
そんなことは全くありません。

リーマン・ブラザーズが潰れた後に野村証券が買収したように、国内や海外の別の航空会社が潰れた会社を買収するだけなのです。
ひょっとしたらネット・ベンチャーみたいな異業種の会社が買収するかもしれませんね。
ヨーロッパにはライアンエアーと言う航空会社があります。
この航空会社はチケットの販売を全てインターネットを通して行ったり、機内食を全て有料にしたり(日本の新幹線みたいな感じです)、空港はあまり使われていないちょっと外れたところにあるのを使ったりして、徹底的に合理化されコストが極限まで抑えられています。
その結果、席が埋まっていない時は、ロンドン―パリ間のチケットが1000円で買えたりします。
今後はアメリカとの便を飛ばしたり、さらに国際展開していくようです。

日本の航空会社がひとつ潰れても、このような消費者の喜ぶ新しいサービスが始まる可能性が高いのです。
僕たちは、出発前にインターネットでチケットを見つけて東京から北海道に1000円で行けるような航空会社が日本に現れたたかもしれない可能性を、日本国政府の余計な介入により潰されてしまったのです。

また、潰れそうな会社ですから閉塞感でいっぱいだと思いますが、その中でもやる気を出してもっと消費者に喜んで貰えるサービスをしたいと思っている社員もたくさんいるわけです。
それでも組織にしがらみがありすぎてこう言った社員は何もできないのです。
そう言った社員はいったん潰れて新しい会社になれば、給料など様々な点で得することの方が多いでしょう。

もちろん、買収する方も余分なものは極力そぎ落としたいので、合理化の過程で無能な経営者や様々な関連団体(こう言うところに官僚がたくさん天下っています)がリストラされます。
その人たちは一時的に失業するでしょうが、だからと言って何か問題があるでしょうか?
世の中は他にも失業者がたくさんいるのです。
航空会社の失業者だけを特別扱いして、税金を投入する理由にはなりません。

結局のところ航空会社が潰れると、消費者は新しいサービスが低料金で提供されるのでハッピー、やる気のある社員も心機一転でしがらみの少ない新しい会社に生まれ変わってハッピー、そして、当然税金が無駄遣いされずに国民はみんなハッピーといいことの方が断然多いのです。

大企業、潰れるのも悪くないです。

正直言って、最近の事業会社への一連の公的資金による救済策は、政治家と官僚の利権を守るためだとしか思えません。
◆「見えないもの」を見るには | comments(0) | trackbacks(0) |

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